函館記念は、単に直近の補9が高い馬を選ぶレースではありません。過去20年では、補9=116以上の馬が勝ち馬の中心でした。しかし登録馬を見渡すと、直近の数字が低くても、その数字だけで能力を否定できない馬が複数います。
今回のポイントは、補9を過去に出した事実よりも、その数字がどんな条件で出たのかです。前走着順だけではなく、距離、4角位置、着差、レースPCI、そして北海道での走りを重ねて見ます。
最も補9を戻す可能性が高いのはケイアイセナです。小倉大賞典では補9=116で0.1秒差の2着、札幌記念でも補9=116で0.3秒差の4着でした。札幌記念では4角1番手にいたように、この馬が高い補9を出す時は、前で自分の形を作れた時です。
直近のダービー卿チャレンジトロフィーは補9=103ですが、距離も1600メートルで、4角7番手の中団でした。過去の高い補9と同じ競馬にはなっていません。函館記念で重要なのは、57.5キロを背負っても先行して自分のリズムを守れるかです。父ディープインパクト、母父Smarty Jonesという配合を含め、血統だけで洋芝適性を決めることはできませんが、札幌芝2000メートルで補9=116を出している事実は大きいです。逃げ、または無理なく好位を確保できる組み合わせなら、補9=115以上への回帰を最も強く見ます。
デビットバローズは、能力の高さと今回の距離適性が最も自然につながる馬です。大阪杯では8着でも0.7秒差で、補9=116でした。着順だけを見れば強調しづらい内容ですが、4角7番手から大きく離されずに走っている点は重要です。さらに鳴尾記念では補9=114で勝利し、大阪城ステークスでも補9=114で勝っています。
ロードカナロア産駒で、母父はサンデーサイレンスです。この血統だけを根拠に函館向きと決めることはできませんが、実際に巴賞では4角2番手から0.3秒差の2着、補9=112を記録しています。前年の函館記念では補9=85、16着、3.7秒差と大きく崩れています。ただ、この大敗を消すのではなく、巴賞で見せた前受けと、函館記念で後方に置かれた差を比較するべきです。函館で能力が出ない馬というより、位置取りが崩れた時に数字が壊れる馬として扱う方が正確です。4角で4〜7番手に収まれば、補9=115以上は十分に見えます。
エコロディノスは、最も扱いが難しく、同時に最も見落とせない馬です。京都記念では4角3番手から0.3秒差の3着で、補9=115でした。オリオンステークスでも4角2番手から補9=109で勝っています。数字を上げる時の形は明確で、前で折り合い、早くから位置を悪くしないことです。
一方、大阪杯は15着、10.8秒差、補9=15でした。この数字を通常の下落として扱うことはできません。しかし、大敗の理由をデータだけから断定することもできません。大阪杯の一走を完全に消すのではなく、能力比較の中心から外して、京都記念の補9=115を基準に戻すべきです。キタサンブラック産駒で母父Generousという配合は、今回の舞台で血統面から強く断言できる材料ではありません。ただし、2200メートルで先行して補9=115を出した戦歴は、函館2000メートルでも前受けができるなら十分に通用します。
マジックサンズは、勝ち馬帯まで最も近い上昇型です。中山記念で補9=113、エプソムカップでも補9=113を出し、後者は0.2秒差の4着でした。最高補9が既に113まで来ているため、過去20年の3着内中央値である補9=114へ必要な上積みは大きくありません。
札幌2歳ステークスでは芝1800メートルの重馬場を4角2番手から勝っており、北海道で前へ行けた経験もあります。父キズナ、母父キングカメハメハという配合も、血統だけで結論を出すためではなく、これまでの北海道実績と合わせて見るべきです。問題は58キロです。補9=116まで一気に上げるより、補9=113から115へ、少し足す形の方が現実的です。勝ち切り候補というより、展開が締まれば上位へ浮上する馬として注目します。
アラタはジャンプ候補というより、能力を再現できるかの馬です。札幌記念で補9=118、翌年も補9=116を記録しており、北海道の芝2000メートルで高い数字を出した履歴は登録馬でも上位です。ただし9歳で58キロですから、過去の最高値をそのまま今回の期待値にはできません。
直近の金鯱賞は10着でも0.6秒差、補9=112でした。完全に終わった数字ではありません。函館記念で補9=115以上へ戻る可能性は残っていますが、それは成長ではなく、北海道芝2000メートルへの条件回帰です。父キングカメハメハ、母父ハーツクライという配合を含めても、血統の理屈より、札幌記念で実際に補9=116、118を出していることを優先します。
ジュタは、4歳馬らしいジャンプ候補です。美浦ステークスでは芝2000メートルを4角4番手から勝ち、補9=106でした。エプソムカップは出遅れがありながら0.5秒差の8着で、補9=110まで上げています。数字の最高値だけなら物足りませんが、前走の着順だけで切ると、この上昇の線を見落とします。
父ドゥラメンテ、母父Street Senseという配合を理由に断定はできません。それでも、美浦ステークスで見せた2000メートルの先行力と、エプソムカップで後方から補9=110まで出した内容は、別々の脚質でも能力を出せる可能性を示しています。スタートを決めて4角で勝負圏にいれば、補9=114前後まで上げる余地があります。
イガッチとフィーリウスは、過去の補9水準では足りないものの、4歳馬の上昇を無視できない組です。イガッチはセンテナリーステークスを補9=107で勝ち、函館芝1800メートルでも4角1番手から勝っています。現時点で補9=115まで一気に届くと決めるのは早いですが、55キロで4角4番手以内に収まる形なら、今回の登録馬のなかでは数字を最も伸ばす余地があります。
フィーリウスはスピカステークスを0.4秒差で勝ち、補9=107でした。2200メートルでも勝利があり、札幌芝2600メートルでは0.7秒差の3着があります。キタサンブラック産駒で母父ロードカナロアという配合も含め、距離をこなす下地はあります。ただし函館芝2000メートルで高い補9を出した実績はまだありません。補9=114を目標にするなら、今回が初めて能力を見せるレースになります。
チャックネイトとサンストックトンは、過去の補9だけで高く評価すると危険なタイプです。チャックネイトは補9=120、119という登録馬最上位の数字を持ちます。しかし北海道芝2000メートルでは補9=112、113にとどまっています。能力上限は高くても、函館記念で同じ数字を出せるとは限りません。
サンストックトンはAJCCで補9=116を出していますが、函館記念では補9=111と107で、ともに4角11番手以下でした。この馬の課題は能力より位置取りです。函館で後ろからになるなら過去の数字が再現されにくく、4角で中団まで押し上げられるなら補9=114前後への回帰が見えてきます。
ケリフレッドアスクは、55キロと福島牝馬ステークスでの補9=111が魅力です。4角14番手から0.3秒差まで来たことは、展開が流れた時の末脚を示しています。ただし函館記念の過去20年では、4角後方のままでは勝ち切りにくいことも明確です。差しの形を取るとしても、3〜4角でどこまで前との差を詰められるかが必要になります。
オニャンコポン、バルナバ、ピースワンデュック、ファウストラーゼンは、現時点では補9ジャンプの根拠がもう一段ほしい組です。オニャンコポンには補9=112前後の実績がありますが、直近では105まで落ちています。バルナバは関門橋ステークスで補9=109を出し、55キロは魅力ですが、北海道の戦歴はまだ強調しにくい内容です。
ピースワンデュックは中山金杯で補9=111を出していますが、直近は補9=93まで下がっています。ファウストラーゼンも弥生賞で補9=107を出しましたが、その後の数字は安定していません。どちらも展開がはまれば一変する可能性はありますが、現段階では高補9の再現を前提に置くより、枠順と前走後の状態材料を待つべきです。
ジョーメッドヴィンは、データ上で芝1200メートルの戦歴が中心です。芝2000メートルで補9をどこまで出せるかを判断する材料がないため、今回の補9分析では評価を保留します。
現時点の結論は、補9=116前後まで戻せる馬としてケイアイセナとデビットバローズを中心に見ます。エコロディノスは大阪杯の大敗をどう扱うかが難しい一方、通常時の補9=115は軽視できません。マジックサンズは補9=113からの小さな上積みで上位へ届くタイプです。
ジャンプという意味では、ジュタ、イガッチ、フィーリウスが重要です。いずれも過去の数字だけでは少し足りません。しかし4歳馬であり、斤量も比較的恵まれています。補9が低いこと自体より、その低い数字を出した時と今回で、距離、位置取り、成長段階が変わるかを見るべきです。
枠順、騎手、当日の馬場が確定した段階では、ケイアイセナの先行形、デビットバローズの4角位置、ジュタとイガッチの位置取りを中心に、補9見込みをもう一度組み直す必要があります。
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