7月30日にディープインパクトの死亡が伝えられた。このニュースを聞いたときはショックで信じられませんでした。
ディープインパクトは僕が競馬を始めてから初めて見た3冠馬でした。レースでの圧倒的な強さ、そのレースっぷりはいつも感動させられました。常に外を回って、次元の違う脚を使って伸びてくる。勝って当たり前、負ける事がイメージできない馬でした。小さな体がゴムまりのように跳ねて、一気に突き抜けていく。すごい馬でしたね。
生涯単勝オッズは1.0~1.3倍の超人気
ディープインパクトの生涯成績は14戦12勝2着1回(G1勝利は8勝)、獲得賞金13億2400万円。デビューは暮れの阪神芝2000m、鞍上は武豊で単勝人気は1.1倍。1000m通過が66秒0のスローペースを好位で折り合い、直線は軽く促しただけで2着馬を4馬身突き放した。上がり3Fは33秒1、逃げて2着に入ったコンゴウリキシオーは34秒1の上がりで3着に3馬身差。このレースの武豊のコメントは「調教ではいいスピードがあったけど、実戦では掛かるところもなかったし、馬込みでも我慢してくれた。見ての通り文句のつけようのない内容。とにかく無事にいって欲しいね。」
2戦目の若駒賞では逃げ馬がハイペースで逃げるなか最後方からの競馬。4コーナーでも5~6馬身以上の差があったが、持ったままで5馬身差の圧勝。あまりの強さに衝撃を受けたレースでしたね。武豊は「スムーズに折り合って、マイペースの道中。ただ跨っていただけでこの内容だから強い。2戦目でイレ込みを少し心配していたけど、その点は問題なかったからね。あとは無事に行ってくれることだけ。」
3戦目は皐月賞トライアの弥生賞。このレースでも、後方からの競馬。小回りの中山なので取りこぼしがないように3コーナー過ぎから外目を進出し、直線の入り口では先頭集団に。直線は少し気合をつけただけだが、内から前で貯めていたアドマイヤジャパンが猛追してきたがクビ差しのいだ。着差はわずかだが絶対に負けない競馬をしていましたね。武豊は「特にテーマは持たず、次につながる競馬を心掛けた。初の長距離輸送は問題なかったし、いつも通りの走りができました。差は僅かだが、今日は相手も強くなっていたし、3角から外を上がって行き、長く脚を使っていますからね。競馬の内容は強かったと思います。ここまで3戦パーフェクトの成績だし、当然期待は大きい馬。でもまだ良くなる馬だし、もっと強くなって欲しい。」
4戦目はクラシック最初のレース皐月賞。単勝オッズは断然人気の1.2倍。スタートはゆっくり出して最後方。内を進まずに馬場の外目からの競馬。向正面から徐々に動き始めて、4コーナー手前で初めて武豊がおっつけてディープインパクトを促す。直線の入り口で左ムチを一発、直線に向いて右ムチを一発。これで、ディープインパクトはギアを一弾上げると一気に弾けてゴール70m手前で先頭に立つとあとは流す余裕。勢いがついただけで他馬とは違う伸びを見せてくれた。何度もレースリプレイを見ているけど衝撃的すぎ。武豊は「ゲートを出て躓いてしまったが、まだ距離がタップリあるので慌てなかった。道中で動くのは勇気がいるが、ムキになって走ったりしなかったので徐々にポジションを上げて行った。4角で気を抜いたので初めてステッキを入れたら驚いていたが、あとは素晴らしい伸びでした。今日の内容はパーフェクト。圧倒的な人気を集めて責任は重大だったが、今はそれを果たせてホッとしています。」
5戦目は無敗で迎えたダービー。単勝オッズは断然人気の1.1倍。ダービーということもあり陣営がしっかり仕上げてきたのでパドックではややテンションが上り気味。スタートは相変わらずゆっくりで、後方からの競馬。早めに外に出したいところだが、ディープインパクト包囲網ではないが前後左右に囲まれる競馬。それでも、3コーナー入り口あたりからレースが動き始めると、馬群がバラけていつの間には外に。直線の入り口では馬場の真ん中まで外に出し、左ムチ一発でギアが上がり一気に伸びて、残り200mでは内から伸びてきたインティライミを捉えて独走。2着に5馬身差の圧勝でレースレコード。武豊は「この馬の強さに感動しました。今日はいつもより気持ちが入っており、テンションが高かったのでゲート内での態勢が悪く、幾らか遅れることは覚悟していた。でも大した遅れではなかったし、慌てずに流れに乗れたから。皐月賞で4角で少し手応えが怪しくなったので、今日は気を抜かせないように気をつけた。抜け出すのが少し早いかと思ったが、最後までしっかり走ってくれたね。乗っていて素晴らしい馬だし、これで無敗の三冠馬という大きな目標ができましたから。明日からはそれを目標に頑張っほしい」
7戦目は無敗で迎えた菊花賞。単勝オッズはなんと1.0倍。このレースではスタートは普通に出て中団からの競馬。でも、これまでと違って行きたがる感じで武豊が宥めながらの追走。向正面で落ち着いてからはいつもディープインパクトになり、3カーナー過ぎから進出し、直線の入り口では馬場の真ん中から先頭集団に。内から早めに抜け出したアドマイヤジャパンがしぶとく伸びていたが、ディープインパクトは残り50m過ぎに捉えて2馬身差をつけての快勝。史上2頭目の無敗の3冠馬が誕生した。武豊は「スタートをスムーズに出てくれましたね。ただ、1周目の3、4コーナーでは少し行きたがる素振りがありましたけれど、そこでうまく我慢してくれましたからね。あとは見ての通りスムーズなレースができました。負けられないというプレッシャーの中で結果を出せたことが嬉しいですし、今日はこの馬の強さを再確認する内容でした。感無量です。」
ディープインパクトが負けたのは次走の有馬記念と凱旋門賞だけ。国内のレースでの単勝オッズは1.0~1.3倍の断然人気。上がり3Fは常に最速。武豊がディープインパクトにもとめていたのは無事にゴールにたどり着くことだけのように見えました。競走馬として一流なのは分かっているけど、種牡馬としても成功させるには怪我のないように走らせること。走り過ぎて怪我をしないように、事故に巻き込まれないように、大事に大事に乗っていたように見えました。
ディープインパクトはいわゆる王道路線を歩みながら無敗で三冠を達成した。血統、厩舎、鞍上など、ダービーを勝つことを知っている、G1を勝つことを知っているスタッフが大事に育て上げた結晶がディープインパクトなのでしょうね。
ディープインパクト産駒の成績を見るとG1勝ちが51頭、G2勝ちが60頭、G3勝ちが93頭いる。G1勝利数は過去10年でトップという素晴らしい成績を残した。ディープインパクト系種牡馬ではキズナ産駒やリアルインパクト産駒がデビューした。これから、もっと多くのディープインパクト系種牡馬が出てくるでしょう。そして、その子どもたちが活躍してくれることを楽しみにしています。
昨日、8月10日にキングカメハメハの死亡が発表されました。ディープインパクトに続き、キングカメハメハまでが・・・。ショックです。
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