前に、騎手別の「逃げ率」を調べた話を書きました。前へ行く騎手ははっきりいて、それは翌年も再現する個性だった、という内容です。書き終えて、ひとつ引っかかりが残っていました。
レースで「逃げる」「控える」を決めるのは、騎手じゃなくて調教師のはずなんですよね。パドックで指示を出して、騎手はそれに沿って乗る。だとしたら、逃げの色は騎手より調教師に出るんじゃないか。だったら同じ集計を、今度は調教師でやってみればいい。
騎手で見ていたものを、厩舎で見直す
やることは前回と同じで、対象を騎手から調教師に替えるだけです。AIに「さっきの逃げ率、調教師別でも出して」とお願いしただけ。データは僕のPCのTARGETから、2021年以降の全レース。集計してくれた表を眺めて、正直、へえ、と声が出ました。
逃げ率トップは森秀行厩舎で16.2%。全馬平均が7%くらいなので、倍以上です。しかも芝に限ると20.0%。5回に1回は自分の厩舎の馬が先頭に立っている計算になります。西園正都厩舎、前川恭子厩舎、池添学厩舎あたりが続く。名前を見ると、なるほど前に行かせる厩舎だよなと腑に落ちる並びでした。
「厩舎の色」は、乗り手を選ばない
ここで気になったのは、これって結局その厩舎がよく強い逃げ馬を持っているだけなんじゃないの、という点です。騎手の手柄かもしれないし、馬の質かもしれない。切り分けたい。
そこで、逃げ率の高い厩舎の馬を「誰が乗ったか」で分けてみました。森秀行厩舎でいうと、武豊騎手で21%、田辺騎手で27%、松若騎手で21%。乗り手が替わっても、だいたいみんな高い。もちろん多少の上下はあるんですが、少なくとも「特定の騎手が乗ったときだけ逃げる」わけではなかった。誰が乗っても前に行く。これはもう、馬の作り方か、厩舎の方針としか言いようがないですよね。
騎手より、厩舎のほうが「再現」する
決め手になったのが再現性でした。前回、騎手の逃げ率は前半3年と後半3年でどれくらい一致するかを見て、相関がr=0.637。かなり再現する、という結果でした。同じことを調教師でやったら、r=0.702。騎手より高いんです。
数字に詳しくない方に雑に言うと、「前半でよく逃げていた厩舎は、後半でもやっぱり逃げている」が、騎手のとき以上にきれいに当てはまる、ということです。前へ行くか控えるかの色は、乗り手個人よりも、その馬を育てて指示を出す厩舎に、より深く染みついていた。
騎手編を書いたときは、逃げは騎手の個性だと思っていました。でも一段掘ってみたら、その奥に厩舎の顔があった。指示を出しているのは調教師なんだから、考えてみれば当たり前なのかもしれません。ただ、当たり前だと思っていたことが数字で見えると、やっぱり少し嬉しいんです(^^ゞ
集計の全文はこちらに置きました
調教師別のランキングや、厩舎ごとの騎手別内訳、コース別まで一枚にまとめてあります。数字を追いたい方はこちらをどうぞ。
※JRA-VAN/TARGETのデータをAIで集計したもので、結果を保証するものではありません。データはすべてローカルで処理しています。
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