日本中央競馬会 全10競馬場 芝コース特性一覧

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日本中央競馬会(JRA)の開催する10競馬場の芝コースについて、各競馬場のコース特性をまとめます。コースの周回方向(右回り/左回り)、直線距離(最終直線の長さ)、高低差(坂の有無とコース全体の起伏)、そして各競馬場固有の特徴や傾向について競馬場別に解説します。最後に競馬場別コース特性比較表も示します。

札幌競馬場

  • 周回方向: 右回り
  • 直線距離: 約266m(Aコース使用時)。日本一短い直線の競馬場の一つです。
  • 高低差: 最大0.7mと非常に平坦 。坂道はほぼありません。
  • 芝の種類: 洋芝(インディカ)のみ。国内では札幌と函館だけが芝に洋芝を使用しています 。
  • コースの特徴: 1周約1640mのコンパクトなコースで、直線が短く平坦なのが特徴です 。坂道がなく起伏も少ないため、逃げ馬や先行馬がそのまま押し切りやすい傾向があります 。洋芝のためタイムが出にくくスタミナが問われる点もポイントです 。コーナーも緩やかなので先行・逃げ有利で、差し馬は序盤から先行に迫っておく必要があります 。

函館競馬場

  • 周回方向: 右回り
  • 直線距離: 約262m(Aコース使用時)。札幌に次ぐ短い直線です。
  • 高低差: 最大3.5m。ローカル競馬場(札幌・函館・福島・新潟・中京・小倉)の中では最大の起伏です 。
  • 芝の種類: 洋芝(インディカ)のみ。札幌と同様、洋芝コースです 。
  • コースの特徴: 1周約1627mのコンパクトなコースですが、高低差が大きく坂道が多い点が特徴です 。例えば芝1200mではスタート後すぐ上り坂になり、4コーナーまで高低差約1.5m上がり、その後ゴールまで下り坂となります 。直線が短いため逃げ馬や先行馬が有利な傾向がありますが、洋芝ゆえにタイムが出にくくスタミナも求められます 。坂道を乗り越えるパワーと持久力が問われる競馬場です。

新潟競馬場

  • 周回方向: 右回り
  • 直線距離: 内回り約359m、外回り約659m 。外回りコースの直線は日本一長い(約659m)とされます 。
  • 高低差: 内回り最大0.8m、外回り最大2.2m 。内回りはほぼ平坦で、外回りはやや起伏があります。
  • 芝の種類: 野芝+洋芝(オーバーシード)。通常は野芝で、冬から春にかけて洋芝を上乗せしています 。
  • コースの特徴: 内回りは1周約1623mのコンパクトで平坦なコース、外回りは1周約2223mの大回りで起伏もあるコースです 。外回りコースは直線が非常に長く日本一の長い直線を誇ります 。直線が長いため差し馬や追い込み馬が最後に上がってくるケースも多く、直線勝負になりやすいです 。一方、内回りコースは平坦で直線も短め(約359m)のため逃げ・先行有利ですが、外回りでは序盤からスピードを落として直線で力を出す戦略も有効です。

福島競馬場

  • 周回方向: 右回り
  • 直線距離: 約292m(Aコース使用時)。ローカル競馬場では標準的な長さです。
  • 高低差: 最大1.9m 。起伏は小さいものの、ゴール前100mほどから緩やかな上り坂があります 。
  • 芝の種類: 野芝+洋芝(オーバーシード)。野芝の上に洋芝を植えたコースです 。
  • コースの特徴: 1周約1600mのコンパクトで平坦に近いコースですが、細かな起伏があります 。直線距離は約292mと短めで、最終コーナーからゴールまでは緩やかな下り坂になっているため逃げ馬・先行馬がそのまま逃げ切りやすい傾向があります 。ただしゴール直前にはわずかな上り坂があり、逃げ切りばかりではなく持久力も試されます 。全体としては小回りコースゆえ逃げ有利ですが、坂のせいでペースが安定しすぎず、内枠が有利な傾向もあります。

中山競馬場

  • 周回方向: 左回り
  • 直線距離: 約310m(内回りコース使用時)。G1が行われる競馬場では最も短い直線です 。
  • 高低差: 最大5.3m 。JRA全10場中最大の起伏を誇ります。特にゴール前の直線には高低差約2.2mの急坂があり、「中山名物」と呼ばれています 。
  • 芝の種類: 野芝+洋芝(オーバーシード)。通常は野芝で、冬から春に洋芝を上乗せしています 。
  • コースの特徴: 内回り(1周約1620m)と外回り(1周約2220m)の2種類の芝コースがあり、いずれも起伏が激しいのが特徴です 。ゴール前に急な上り坂があるため、最後の直線では坂を上り切るパワーと持久力が大きく差を生みます 。直線距離が短い(約310m)ため逃げ・先行馬が有利な傾向もありますが、坂道ゆえにスピードを維持し続けるのは難しく、差し馬も直線入口まで迫っておくと好走することがあります 。中山は起伏最大・直線最短の競馬場として、パワーと持久力を兼ね備えた馬が有利な舞台です。

東京競馬場

  • 周回方向: 左回り
  • 直線距離: 約526m(Aコース使用時)。国内では新潟外回りに次ぐ2番目に長い直線です 。
  • 高低差: 最大約2.7m 。起伏はあるものの、勾配自体は緩やかです。直線には残り500~300mにかけて高低差約2mの上り坂があります 。
  • 芝の種類: 野芝+洋芝(オーバーシード)。通常は野芝で、冬から春に洋芝を上乗せしています 。
  • コースの特徴: 1周約2083mの大回りで広幅のコースで、直線が非常に長いのが特徴です 。起伏はありますが緩やかなため、逃げ馬・先行馬でも直線でバテにくく、差し馬・追い込み馬も序盤から先行に迫っていれば最後に上がってくることが多いです 。直線が長い分、末脚の持続力が問われ、瞬発力と持久力のバランスの取れた馬が有利です。コース幅も最大41mと広く、複数のコースライン(A~D)があるため馬場の偏りが出にくいのも東京の特徴です 。

中京競馬場

  • 周回方向: 左回り
  • 直線距離: 約412m(Aコース使用時)。中央競馬場では平均的な長さです。
  • 高低差: 最大3.5m 。中山・京都に次ぐ起伏で、全場で3番目に大きい高低差です 。直線には高低差約2mの急坂があります 。
  • 芝の種類: 野芝+洋芝(オーバーシード)。野芝の上に洋芝を植えたコースです 。
  • コースの特徴: 1周約1706mのコースで、起伏が大きく直線に急坂があるのが特徴です 。向こう正面から直線にかけて緩やかに下り、直線では急な上り坂になります 。このため、序盤から逃げ切るのは難しく、直線入口まで先行に迫っておいて最後に上がる差し馬が好走することが多いです 。直線距離は平均的ですが、坂道ゆえに実質的にスタミナ勝負となりやすく、持久力のある馬が有利です。中京は起伏3.5mというタフなコースで、パワーと持久力を兼ね備えた馬が活躍しやすい舞台です。

京都競馬場

  • 周回方向: 右回り
  • 直線距離: 内回り約328m、外回り約404m 。内回りは短め、外回りはやや長めの直線です。
  • 高低差: 内回り最大3.1m、外回り最大4.3m 。外回りコースは起伏が大きく、「京都名物」の急坂があります 。
  • 芝の種類: 野芝+洋芝(オーバーシード)。野芝の上に洋芝を植えたコースです 。
  • コースの特徴: 内回り(1周約1783m)と外回り(1周約1894m)の2種類の芝コースがあり、外回りは起伏が激しいのが特徴です 。外回りでは直線手前に高低差約4mの急坂があり、この坂をどうこなすかが勝敗を分けます 。直線距離は外回りで約404mとやや長めですが、坂道があるため逃げ切りは難しく、差し馬・追い込み馬が直線で上がってくる傾向があります 。一方、内回りは起伏がやや小さく(約3.1m)直線も短め(約328m)ですが、それでも他場と比べれば起伏は大きく、持久力のある馬が有利です 。京都は外回りでは高低差4.3mという起伏がタフで、パワーと持久力を備えた馬が好走しやすい舞台です。

阪神競馬場

  • 周回方向: 右回り
  • 直線距離: 内回り約357m、外回り約474m 。外回りの直線は右回り競馬場では日本最長です 。
  • 高低差: 内回り最大1.9m、外回り最大2.4m 。起伏は小さめですが、ゴール前200m付近に高低差約1.8mの急坂があります 。
  • 芝の種類: 野芝+洋芝(オーバーシード)。野芝の上に洋芝を植えたコースです 。
  • コースの特徴: 内回り(1周約1689m)と外回り(1周約2089m)の2種類の芝コースがあり、外回りは右回りで日本最長の直線(約474m)を持つ大回りコースです 。起伏は小さくコース全体が平坦に近いものの、ゴール前には急な上り坂があります 。直線が長い外回りでは逃げ切りも可能ですが、坂道のせいで末脚の持久力も求められます。内回りは直線が短め(約357m)で起伏も小さいため逃げ・先行有利ですが、外回りでは直線が長く坂もあるため差し馬・追い込み馬も好走することがあります 。阪神は全体として平坦なコースですが、最後の急坂がパワーを試すポイントとなっています。

小倉競馬場

  • 周回方向: 右回り
  • 直線距離: 約293m(Aコース使用時)。ローカル競馬場ではやや短めの直線です。
  • 高低差: 最大2.9m 。起伏はあるものの、大部分は緩やかな勾配です。ゴール前には高低差0.6m程度の緩やかな上り坂があります 。
  • 芝の種類: 野芝+洋芝(オーバーシード)。野芝の上に洋芝を植えたコースです 。
  • コースの特徴: 1周約1615mのコンパクトなコースで、コーナー半径が小さく小回りですがコース幅が広め(最大33m)である点が特徴です 。高低差は2.9mありますが、2コーナーの丘から4コーナーにかけて下り坂、そして直線にかけて緩やかな上り坂という構成で、起伏自体は他の大きな起伏コースほど激しくありません 。直線が短いため逃げ・先行有利な傾向がありますが、坂道のせいでペースが安定しすぎず、差し馬も序盤から迫っていれば好走することがあります。小倉はコース幅が広いため枠順の影響は比較的小さく、総じて逃げ有利ですが起伏により持久力も求められる舞台です。

競馬場別芝コース特性比較表

以下の図と表に、各競馬場の芝コースについて周回方向、直線距離、高低差、芝の種類、そして特徴的な傾向をまとめます。

競馬場 周回方向 直線距離 (Aコース使用時) 高低差 (最大) 芝の種類 特徴・傾向
札幌 右回り 約266m 0.7m 洋芝のみ 平坦で直線短め。逃げ・先行有利。洋芝ゆえタイムが出にくくスタミナ重視。
函館 右回り 約262m 3.5m 洋芝のみ 起伏が大きく坂道多。直線短めで逃げ有利だが、洋芝+坂で持久力・パワーも要。
新潟 右回り 内359m/外659m 内0.8m/外2.2m 野芝+洋芝 外回りは直線日本一で起伏あり。差し・追い込み好走。内回りは平坦で逃げ有利。
福島 右回り 約292m 1.9m 野芝+洋芝 ほぼ平坦だが緩やかな坂あり。直線短めで逃げ有利だが、ゴール前に上り坂があり持久力も要。
中山 左回り 約310m 5.3m 野芝+洋芝 起伏最大・直線最短。ゴール前急坂がタフで、パワーと持久力を兼ねた馬が有利。
東京 左回り 約526m 約2.7m 野芝+洋芝 直線が非常に長く起伏は緩やか。逃げ・差し双方活躍。バランス型の馬が有利。
中京 左回り 約412m 3.5m 野芝+洋芝 起伏が大きく直線に急坂。差し・追い込みが好走しやすく、持久力が問われる。
京都 右回り 内328m/外404m 内3.1m/外4.3m 野芝+洋芝 外回りは起伏激しく急坂がありタフ。差し・追い込み有利。内回りは起伏やや小さめだが依然持久力重視。
阪神 右回り 内357m/外474m 内1.9m/外2.4m 野芝+洋芝 平坦なのにゴール前急坂あり。外回りは直線が長く差しも活躍。内回りは逃げ有利。
小倉 右回り 約293m 2.9m 野芝+洋芝 小回りだが幅広。起伏はあるが緩やか。直線短めで逃げ有利だが、坂道でペースが安定せず差しも台頭。

※直線距離は主に芝Aコース使用時の数値です。高低差はコース全体の最大高低差です。芝の種類について、「野芝+洋芝」はオーバーシード(野芝の上に洋芝を植えた)コースを指します。

まとめ

以上、JRAの10競馬場それぞれの芝コース特性を見てきました。周回方向は東京・中山・中京が左回り、その他7場が右回りです 。直線距離は新潟外回りが約659mで日本一長く、札幌・函館が約260m程度で短いです 。高低差は中山が最大5.3mで起伏が激しく、札幌は0.7mとほぼ平坦です 。芝の種類は札幌・函館のみ洋芝一本植えで、その他は野芝+洋芝のオーバーシードコースです 。

各競馬場によってコースの特徴が異なり、逃げ有利なコース(札幌・函館・福島・小倉など)、差し有利なコース(新潟外回り・東京・中京など)、起伏が激しく持久力を要するコース(中山・京都外回りなど)、平坦でスピード重視のコース(札幌・阪神内回りなど)と様々です。これらの特性を踏まえることで、レースの展開や脚質の好適性をより的確に予想することができるでしょう。それぞれの競馬場のコース特性を理解し、馬券戦略に役立ててください。

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