スプリンターズS2026登録馬分析|過去20年から浮上したワールズエンドと見逃せない穴馬

レース展望
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今年のスプリンターズSは、登録の段階でかなり面白い顔ぶれになりました。

昨年の覇者ウインカーネリアン、2024年の覇者ルガル、2023年の覇者ママコチャが同時に登録しています。そこへ今年の安田記念で補9=118を出したワールズエンドと、安田記念117・高松宮記念113のパンジャタワーが加わります。前哨戦では、サウンドモリアーナとフリッカージャブが勝っています。

過去20年のデータに今年の登録馬を重ねてみると、今年の核心は「一番速い馬」ではなく、「速い馬たちの直後で脚を残せるG1級の馬」だと考えています。

※枠順確定前、登録段階での評価です。

1. 前走ローテーションから

過去20年の勝ち馬は、セントウルS組が8勝、北九州記念組が4勝、キーンランドC組が3勝、安田記念組が2勝。高松宮記念とCBC賞からも勝ち馬が出ています。

今年のセントウルS組では、フリッカージャブ、ピューロマジック、ママコチャ、クラスペディアが0.4秒以内に入りました。キーンランドC組はサウンドモリアーナが勝ち、パンジャタワーが0.2秒差2着、ウインカーネリアンとエーティーマクフィが0.3秒差です。

素直に前哨戦組だけを比べるなら、サウンドモリアーナ、パンジャタワー、フリッカージャブでしょう。

ただ、今年いちばん経験則から外して考えたいのはワールズエンドです。前走の安田記念で補9=118。登録馬の今年の実績では最上位です。しかも逃げて勝ち馬と同タイムでした。ここから1600mが1200mへ、400m縮まります。

普通なら「初1200m」は不安材料です。ところが過去20年で、安田記念から直行して勝った馬が2頭います。2017年のレッドファルクスと2020年のグランアレグリアです。どちらも1200mの前哨戦を使わず、春のマイルG1から能力で押し切りました。つまりローテーションそのものを理由に消すことはできません。

問題は距離ではなく、1200mでワールズエンドよりテンの速い馬が何頭もいることのほうだと思います。

ローテーションから残すのは、ワールズエンド、パンジャタワー、サウンドモリアーナ、フリッカージャブ。次にウインカーネリアンとママコチャです。ただしこれは「前走が良かった順」ではありません。ワールズエンドは能力水準、パンジャタワーはG1級の能力と1200m対応の両立、サウンドモリアーナとフリッカージャブは上昇過程、ウインカーネリアンとママコチャは中山1200mのG1で既に能力を証明済み。残す理由は全部違います。

2. 血統から

過去20年ではクロフネ産駒が3勝。父タイプではVice Regent系が3勝、Kingmambo系が3勝、Roberto系とMr. Prospector系がそれぞれ2勝です。

ただ今年は珍しく、血統を抽象論で語る必要がほとんどありません。

ママコチャは父クロフネ×母父キングカメハメハ。2023年にこの馬自身がスプリンターズSを勝った配合です。ウインカーネリアンは父スクリーンヒーロー(Roberto系)×母父マイネルラヴで、2025年の勝利配合そのもの。ルガルは父ドゥラメンテ(Kingmambo系)×母父New Approachで、2024年の勝利配合そのものです。

この3頭については、「血統的に中山1200mが合うか」を推測する段階がもう終わっています。残る問題は年齢と現在の能力だけです。

面白いのはパンジャタワーです。父タワーオブロンドンは2019年のスプリンターズS勝ち馬。そして自身も高松宮記念4着、安田記念は0.1秒差まで来ています。血統と実戦の能力が別々に好材料なのではなく、「スプリントとマイルの中間領域を高いレベルで処理できる」という一点で一致しているのが強みです。

サウンドモリアーナも軽視できません。父ミッキーアイル産駒は過去20年で3頭が3着以内に入っていて、本人も前走で補9=112まで上げてきました。

なお、レイピアもパンジャタワーと同じ父タワーオブロンドン。ジューンブレアの父American Pharoahは、昨年このレースで同馬自身が2着しています。

逆に「短距離らしい血統だから」という理由だけで評価を上げる馬はいません。父系の距離イメージより、実戦で示した能力を優先します。

3. 脚質から(今年の核心)

過去20年の勝ち馬の脚質は、中団9頭、先行7頭、逃げ3頭、後方1頭。4コーナーでは20頭中19頭が10番手以内で、11番手以下から勝ったのは2020年のグランアレグリアだけです。

そして今年は、前へ行く馬が多い。

ワールズエンドは安田記念を逃げ、ウインカーネリアンはキーンランドCを逃げ、ピューロマジックはセントウルSを逃げています。フリッカージャブとサウンドモリアーナは2番手。ジューンブレアも昨年のスプリンターズSでは逃げていました。

逃げ候補が1頭ではありません。ここが今年いちばん大事なところだと思っています。

ですから「前有利の中山だから逃げ馬」という発想は危険です。むしろ探すべきは、逃げ馬が作る流れより少しだけ脚を温存して、4角では射程圏にいる馬です。

この形にいちばん近いのがパンジャタワー。前走は4角6番手、高松宮記念では4番手でした。前へ行く能力がありながら、逃げ争いに参加する必要がありません。サウンドモリアーナも2番手から競馬ができますし、ママコチャも前走は6番手です。

今年は「逃げ馬」より「逃げ馬を見る馬」を上に取ります。脚質だけならパンジャタワーが最上位。続いてサウンドモリアーナ、ママコチャです。

フリッカージャブも評価しますが、前走までの形が前過ぎるので、ワールズエンド、ピューロマジック、ウインカーネリアンとの位置関係次第になります。

レッドモンレーヴは別枠です。今年の高松宮記念で4角11番手から2着まで来た能力は魅力ですが、中山で同じ競馬をすると過去20年の勝ち馬の範囲から外れます。勝ち馬候補というより、展開が崩れたときの2〜3着候補として扱うほうが自然だと思います。

4. 生産者・馬主・騎手から

過去20年ではノーザンファーム生産馬が4勝、社台ファームも4勝しています。

今年のノーザンファーム生産馬は、スターアニス、ブラックチャリス、ママコチャ、リリージョワ、レッドモンレーヴ、ワールズエンドの6頭。コスモヴューファームは過去に1勝・3着以内2回で今年はウインカーネリアン、三嶋牧場も1勝でルガル、村田牧場も1勝でピューロマジックです。馬主では東京ホースレーシングが過去2勝。ウイン、金子真人ホールディングス、江馬由将、廣崎利洋HDにも勝利実績があります。

とはいえ、ノーザンファームだから機械的に買う、という話ではありません。

ワールズエンドは能力面で既にトップクラスに入っていて、そのうえでノーザンファーム生産・キャロットファーム所有です。陣営が弱点を埋めるのではなく、能力評価にさらに重なる形になっています。ママコチャも同じです。

一方でウインカーネリアンはノーザン系ではありませんが、この馬自身と三浦皇成騎手の組み合わせで昨年このG1を勝っています。これは一般的な「トップ騎手だから」という評価より価値があると思っています。馬がいちばん走れるリズムを、騎手が知っているからです。

なお騎手はまだ確定していません。直近ではパンジャタワーとフリッカージャブが松山弘平騎手、ウインカーネリアンが三浦皇成騎手、サウンドモリアーナとママコチャが武豊騎手、ワールズエンドが津村明秀騎手ですが、確定ではないので、ここで乗り替わりを勝手に加点・減点することはしません。

5. 現時点の中心

ワールズエンド。 最大の理由は補9=118の安田記念2着です。しかも逃げて勝ち馬と同タイム。1200m未経験は明確な不確定要素ですが、「走ったことがないから能力不足」とするのは違うと思います。問題はスプリントの速さについていけるかであって、前半から行き切る必要はありません。今年は逃げ候補が多いので、前に行かずに好位へ収まれば面白い存在です。

パンジャタワー。 今年の安田記念で補9=117、高松宮記念で113。1200mと1600mの両方でG1水準を示しています。前走キーンランドCも0.2秒差2着で、4角6番手という位置も、今年のメンバー構成と過去20年の勝ち馬像によく合います。

ウインカーネリアン。 9歳という年齢だけを見ると買いにくいのですが、昨年このレースを補9=115で勝ち、今年の高松宮記念も114で3着。前走は59キロを背負って0.3秒差です。「高齢だから衰えている」という仮説と、実際の数字が一致していません。

ルガル。 2024年の勝ち馬で、今年は海外G1で2着と0.4秒差8着。国内の前哨戦を使っていないことをマイナスにするより、2024年に高松宮記念10着からこのレースを勝った馬であることを重く見ます。

サウンドモリアーナは上昇馬として。前走で補9=112まで上げました。勝ち馬帯の113以上までもう一段ですが、4歳で今年に入って1200mの3勝クラス、オープン、G3と上がってきています。

フリッカージャブも同じ上昇型。ただし補9=111で、G1実績馬との絶対能力差はまだあります。セントウルS勝ちというだけで上位に置くのではなく、「111からG1勝ち馬帯へ上がれるか」を見る馬です。

ママコチャは7歳でも残します。前走の補9=108だけなら強調できませんが、2023年にこのレースを勝ち、2025年の高松宮記念で115。中山1200mへの適性を、改めて証明する必要がない馬です。

現時点の中心はワールズエンド、パンジャタワー、ウインカーネリアン、ルガル。その後ろにサウンドモリアーナ、ママコチャ、フリッカージャブを置きます。

6. 穴馬

ジューンブレア。 前走17着、2.3秒差、補9=94だけを見るなら買えません。しかし昨年のスプリンターズSでは、ウインカーネリアンと同タイムの2着で補9=115です。しかも高松宮記念のあと、騎手コメントに「息遣いが本当じゃなかった」とありました。単なる大敗と同じ扱いをしてはいけない負け方です。状態が戻っていることが条件ですが、「前走補9の低さではなく、その低さの理由を調べる」という考え方に、いちばん当てはまる馬だと思います。

レッドモンレーヴ。 セントウルS16着、補9=85という数字は非常に悪い。ところが今年の高松宮記念は15番人気2着で補9=114です。前走も上がり32.6秒で1位でした。「走る能力そのものがなくなった」というデータではありません。ゲートの問題で4角16番手になったので、スプリンターズSで位置を取れるかがすべてです。勝ち馬候補としては後方過ぎますが、2〜3着の穴としては無視できません。

エーティーマクフィ。 補9の最高値が110なので、能力では上位馬に劣ります。それでも前走キーンランドC4着は0.3秒差で、4角6番手。富田暁騎手が「本番は次」と明言しています。勝つにはかなりのジャンプが必要ですが、「前走4着だから足りない」ではなく、本番へ余力を残していた可能性を検討したい馬です。

スターアニス。 少し違う意味で残します。オークス12着から1200mというローテーションは、過去20年の勝ち馬像から大きく外れます。しかし桜花賞を補9=113で勝ち、2歳時には1200mで1.1秒差の勝ちがあります。「クラシック馬だからスプリンターではない」と決めつけると見落とすタイプです。本線ではありませんが、枠と騎手が出たあとにもう一度必ず見直します。

まとめ

表面的には前哨戦の好走馬が目立つメンバーです。ただ過去20年と今年の戦歴を重ねると、僕はむしろ「G1でどこまで走ったことがあるか」を重く見ます。

現段階で能力の芯がいちばん太いのはワールズエンドとパンジャタワー。そこへ、中山1200mの答えを既に持っているウインカーネリアン、ルガル、ママコチャを重ねます。サウンドモリアーナとフリッカージャブは、そこへ初めて割って入れるかを見る立場です。

穴でいちばん面白いのはジューンブレアです。前走17着という見た目と、昨年このレースで補9=115を出した事実が大きく乖離しています。レッドモンレーヴも同じで、高松宮記念2着の能力とセントウルS16着が同じ馬の中にあります。この2頭は「近走の着順順に並べる予想」では、いちばん拾いにくい馬だと思います。

最後に今年の最大の注意点です。ワールズエンド、ウインカーネリアン、ピューロマジック、ジューンブレア、フリッカージャブと、前へ行ける馬が多い。枠順が確定したら、ここで出した順位をそのまま使ってはいけません。 逃げ馬を確定させたうえで、その直後で無理なく運べる馬をもう一度抽出する必要があります。

今年のスプリンターズSの核心は、「一番速い馬」ではなく「速い馬たちの直後で脚を残せるG1級の馬」。枠順が出たら、その視点でもう一度整理します。

登録馬データ一覧

スプリンターズS2026 登録馬一覧(21頭・50音順)
馬名 性齢 前走 補9 メモ
アイサンサン 牝4 ヴィクトリアマイル 13人気13着(0.9差) 110 キズナ 出遅れて後方15番手。幸英明騎手「ハナか2番手だったら全然違った」
ウインカーネリアン 牡9 キーンランドC 3人気3着(0.3差) 109 スクリーンヒーロー 2025年スプリンターズS勝ち(11人気・補9=115)。今年の高松宮記念3着(114)。前走は59キロで逃げ
エーティーマクフィ 牡7 キーンランドC 4人気4着(0.3差) 109 マクフィ 1200mの最高補9=110。富田暁騎手「本番は次」
クラスペディア 牡4 セントウルS 13人気4着(0.4差) 107 ミスターメロディ 4角4番手
サウンドモリアーナ 牝4 キーンランドC 5人気1着(0.2差勝ち) 112 ミッキーアイル 4角2番手から勝利
ジューンブレア 牝5 高松宮記念 6人気17着(2.3差) 94 American Pharoah 2025年スプリンターズS 7人気2着(同タイム・115)。武豊騎手「息遣いが本当じゃなかった」
スターアニス 牝3 オークス 1人気12着(0.8差) 105 ドレフォン 今年の桜花賞を1番人気で勝利(0.4差・113)。2歳時に1200m未勝利を1.1秒差勝ち
タマモイカロス 牡3 セントウルS 9人気14着(1.8差) 93 デクラレーションオブウォー 最高補9=103
パンジャタワー 牡4 キーンランドC 1人気2着(0.2差) 110 タワーオブロンドン 安田記念5着(0.1差・117)、高松宮記念4着(0.4差・113)
ピューロマジック 牝5 セントウルS 2人気2着(0.1差) 110 アジアエクスプレス 2024年・2025年のスプリンターズSはいずれも8着(ともに110)
フリッカージャブ 牡4 セントウルS 1人気1着(0.1差勝ち) 111 サートゥルナーリア 北九州記念・鞍馬S・セントウルSを3連勝
フロムダスク 牡6 CBC賞 12人気1着(0.4差勝ち) 109 Bolt d’Oro 4角3番手から押し切り
ブラックチャリス 牝3 UHB賞 2人気6着(0.5差) 102 キタサンブラック 最高補9=105
ペアポルックス 牡5 高松宮記念 11人気10着(1.1差) 106 キンシャサノキセキ 2025年オーシャンS2着時に補9=112
ママコチャ 牝7 セントウルS 5人気3着(0.3差) 108 クロフネ 2023年スプリンターズS勝ち馬。1200mで補9=115
ヨシノイースター 牡8 セントウルS 6人気11着(1.2差) 99 ルーラーシップ 2025年スプリンターズS 14人気5着(0.4差・111)
リリージョワ 牝3 中京記念 4人気14着(1.1差) 102 シルバーステート 浜中俊騎手「短距離の方が良さそう」
ルガル 牡6 QEジュビリーS(英)8着(0.4差) ドゥラメンテ 2024年スプリンターズS勝ち(9人気・115)。1200mで補9=117
レイピア 牡4 CBC賞 2人気2着(0.4差) 105 タワーオブロンドン 今年の高松宮記念5着(8人気・0.7差・110)
レッドモンレーヴ 牡7 セントウルS 7人気16着(2.6差) 85 ロードカナロア 上がり32.6秒で1位・4角16番手。今年の高松宮記念2着(15人気・0.3差・114)。酒井学騎手「ゲートがすべて」
ワールズエンド 牡5 安田記念 7人気2着(同タイム) 118 ロードカナロア 逃げて4角1番手。1200mへの出走経験はなし

補9は数字が大きいほど内容が上位。ルガルの前走は海外競走のため補9はありません。

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