天皇賞秋2026 クロワデュノールとマスカレードボールの2強対決を持ち時計・上がり・PCIで検証

レース展望
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11月1日、東京芝2000mの天皇賞(秋)。今年はクロワデュノールとマスカレードボールの2強対決だと僕は見ています。

実績ならクロワデュノールが上です。ホープフルS、ダービー、大阪杯、天皇賞(春)とJRAのG1を4勝。マスカレードボールのG1は去年の天皇賞(秋)だけです。直接対決もクロワデュノールの3勝1敗。それでも、マスカレードボールの終いの切れはクロワデュノールより上だと思っています。スタートが良くて終いもしっかり伸びるクロワデュノールと、出は今ひとつでも最後の脚で勝負するマスカレードボール。流れ次第で逆転もあるけれど、6対4でクロワデュノールが有利かな、というのが今の感覚です。

この2強で決まるのか、それとも第3の刺客がいるのか。TARGETのデータで、持ち時計、上がり、速度、PCIと、いくつかの角度から見てみました。

2強のプロフィール

クロワデュノール マスカレードボール
年齢・厩舎 4歳・栗東 斉藤崇史 4歳・美浦 手塚貴久
JRA成績 9戦6勝 8戦4勝
JRAのG1 4勝(ホープフルS・ダービー・大阪杯・天皇賞春) 1勝(天皇賞秋)
海外 プランスドランジュ賞1着、凱旋門賞14着 QE2世C 2着、キングジョージ7着
前走 宝塚記念2着(6月14日) キングジョージ7着(7月25日)
東京芝2000m 出走なし 1戦1勝(去年の天皇賞秋)

直接対決はクロワデュノールの3勝1敗

レース クロワデュノール マスカレードボール
2024 ホープフルS 1着 11着
2025 皐月賞 2着 3着
2025 ダービー 1着 2着
2025 ジャパンカップ 4着 2着

ただ、マスカレードボールが勝った1回は一番最近のジャパンカップです。春のクラシックではクロワデュノールが前にいましたが、古馬になってからの対戦はまだ1回しかありません。

観点1 持ち時計

登録17頭の、芝2000mの最速タイムを速い順に並べました。

馬名 芝2000m最速 レース 東京芝2000m
ホウオウビスケッツ 1:56.6 2025 大阪杯(5着) 1:57.6
リアライズシリウス 1:56.7 2026 皐月賞(2着) –
コスモキュランダ 1:56.8 2025 大阪杯(8着) 1:59.2
クロワデュノール 1:57.3 2025 皐月賞(2着) –
マスカレードボール 1:57.3 2025 皐月賞(3着) 1:58.6
ジョバンニ 1:57.4 2025 皐月賞(4着) –
レディネス 1:57.5 2026 白富士S(4着) 1:57.5
シェイクユアハート 1:57.6 2025 中日新聞杯(1着) –
レガレイラ 1:57.6 2024 皐月賞(6着) –
ダノンデサイル 1:57.9 2026 大阪杯(3着) –
タガノデュード 1:57.9 2026 大阪杯(4着) –
セイウンハーデス 1:58.0 2026 大阪杯(5着) 1:59.0
ジュンブロッサム 1:58.2 2026 オクトーバーS(3着) 1:58.2
サクラファレル 1:58.6 2026 東京の特別戦(1着) 1:58.6
ネブラディスク 1:59.4 2025 京都の平場戦(2着) –
シャンパンカラー 2:03.0 2023 京成杯(6着) –
エルトンバローズ – 芝2000mの出走なし –

2強はどちらも1分57秒3。同じ2025年の皐月賞で、クロワデュノールが2着、マスカレードボールが3着だったときの時計です。持ち時計では差がつきません。

上にいるのは、逃げて速い流れを作るホウオウビスケッツと、今年の皐月賞でロブチェンの2着だった3歳馬リアライズシリウス。ただ持ち時計は「そのときの馬場と流れ」で大きく変わる数字なので、これだけで序列は決められません。

気になるのは、クロワデュノールが東京芝2000mを一度も走っていないことです。東京ではダービーを勝っていますし、1800mの東京スポーツ杯2歳Sも勝っているので、コースが合わないとは思いません。それでも「去年このコースを勝っている」マスカレードボールとは経験の差があります。

観点2 上がり3F

馬名 芝1800m以上の上がり最速 近5走の上がり平均
マスカレードボール 32.3(2025 天皇賞秋) 33.4
シャンパンカラー 33.5 33.4
ジュンブロッサム 32.0 33.7
エルトンバローズ 33.3 34.0
クロワデュノール 33.3(2024 東スポ杯2歳S) 34.7
ダノンデサイル 33.5 34.9

ここははっきり差が出ました。マスカレードボールは近5走の上がり平均が33秒4。クロワデュノールは34秒7。平均で1秒3の差があります。G1に限ると、クロワデュノールが33秒台の上がりを使ったことは一度もありません。終いの切れはマスカレードボールが上、という見立てはデータでもその通りです。

ここで大事なのは、過去20年の天皇賞(秋)の勝ち馬20頭のうち16頭が、上がり3位以内だったこと。東京の長い直線では、最後に脚を使える馬が勝っています。

観点3 速度と位置取り

上がり3Fを時速に直すと、マスカレードボールの32秒3は時速約66.9km、クロワデュノールの近走平均34秒7は時速約62.2km。同じ600mを走ったとして、ゴールでは1秒以上の差になります。

それでもクロワデュノールが勝ってきたのは、位置取りで先に貯金を作っているからです。近5走で4コーナーを回ったときの位置を「頭数のうち前から何割のところにいたか」で表すと、クロワデュノールは0.22(18頭立てならおよそ4番手)、マスカレードボールは0.51(およそ9番手)。前で運んでそのまま押し切るクロワデュノールと、中団から脚を伸ばすマスカレードボール。勝ち方の形がまったく違います。

2強の戦い方

クロワデュノール:スタートが良く、4コーナーで前から4番手前後。上がりは34秒台でも、位置の分だけ先にゴールに近い。

マスカレードボール:4コーナーで中団。そこから32〜33秒台の脚で前をのみ込む。

どちらが先にゴールするかは、「前の貯金」と「後ろの脚」の引き算です。そしてその引き算を決めるのが、レースの流れです。

観点4 PCIで見るレースの流れ

PCIは、レースの前半と後半のどちらに力を使ったかを表す数字です。50くらいがイーブンで、数字が大きいほど前半がゆっくりで後半に速い脚を使った(後傾)、小さいほど前半から飛ばした(前傾)レースになります。RPCIはそのレース全体の流れです。

年 勝ち馬 時計 上がり 勝ち馬PCI RPCI 4角
2016 モーリス 1:59.3 33.8 60.6 57.7 4番手
2017 キタサンブラック 2:08.3 38.5 46.6 45.3 2番手
2018 レイデオロ 1:56.8 33.6 56.8 50.4 5番手
2019 アーモンドアイ 1:56.2 33.8 54.1 50.5 5番手
2020 アーモンドアイ 1:57.8 33.1 62.7 59.0 4番手
2021 エフフォーリア 1:57.9 33.2 62.2 59.2 6番手
2022 イクイノックス 1:57.5 32.7 65.2 37.2 9番手
2023 イクイノックス 1:55.2 34.2 49.1 45.7 3番手
2024 ドウデュース 1:57.3 32.5 66.3 57.2 13番手
2025 マスカレードボール 1:58.6 32.3 70.8 66.0 8番手

去年のRPCIは66.0。過去20年でいちばんの超スローでした。前半3Fが37秒1という遅い流れで、最後は上がり勝負。マスカレードボールの32秒3が一番生きる展開だったことになります。

一方で、2023年のイクイノックスは1分55秒2のレコード。RPCI45.7の速い流れを3番手から押し切りました。流れが速くなれば、前で運んで長く脚を使える馬が有利になります。

2強の近5走のPCI平均は、クロワデュノールが53.2、マスカレードボールが60.9。クロワデュノールは平均的な流れで前から押し切るタイプ、マスカレードボールは後半の瞬発力で勝負するタイプ、という数字です。

今年はどんな流れになりそうか

近5走で4コーナーをいちばん前で回っているのはホウオウビスケッツ(位置0.09)。毎日王冠でも逃げて2着でした。続いてサクラファレル、セイウンハーデス(ともに0.15)、リアライズシリウス(0.16)と、前に行きたい馬がそろっています。去年ほどのスローにはなりにくい、というのが僕の読みです。

流れが平均より速くなればクロワデュノール、去年のような上がり勝負になればマスカレードボール。逆転があるとすれば、スローの瞬発力勝負になったときです。

観点5 過去20年の天皇賞(秋)

項目 結果(2006〜2025年)
1番人気 11勝・2着3回・3着2回
2番人気 2勝・2着4回・3着5回
1・2番人気がそろって3着以内 20回中7回
1・2番人気で1・2着 20回中2回(2008年、2017年)
年齢別の勝利 3歳3勝、4歳7勝、5歳9勝、6歳以上1勝(105頭)
勝ち馬の前走 毎日王冠6勝、宝塚記念5勝、ダービー3勝ほか

1番人気は20回で11勝。G1の中でも、1番人気がよく勝つレースです。クロワデュノールが1番人気になるなら、これは素直に追い風です。

ただ、2強で1・2着が決まったのは20年で2回しかありません。2008年のウオッカとダイワスカーレット、2017年のキタサンブラックとサトノクラウン。どちらか1頭は勝っても、もう1頭が崩れるか、間に別の馬が入ることのほうがずっと多いレースです。

前走は、宝塚記念からの直行組が2017年、2023年、2024年と最近よく勝っています。クロワデュノールは宝塚記念2着からの直行で、この形に当てはまります。毎日王冠組は6勝していますが、最後に勝ったのは2014年のスピルバーグです。

年齢では6歳以上が105頭で1勝だけ。2強はどちらも4歳です。

第3の刺客はいるか

ダノンデサイル(5歳)

2024年のダービー馬で、2025年にはドバイシーマクラシックも勝っています。JRAのG1では3着が5回。有馬記念、ジャパンカップ、大阪杯、宝塚記念と、強い相手にずっと崩れずに走っています。今年の宝塚記念ではクロワデュノールと0.4秒差の3着。勝ち切れないのが弱みですが、2強のどちらかが崩れたときに、いちばん近くにいる馬です。

リアライズシリウス(3歳)

今年の皐月賞2着で、そのときの1分56秒7は2強の持ち時計より0.6秒速い時計です。3歳馬は斤量が56kgで、2強より2kg軽くなります。過去20年で3歳馬は3勝(2021年エフフォーリア、2022年イクイノックス、2025年マスカレードボール)していて、最近は3歳の勝ちが目立ちます。不安は前走の毎日王冠で1番人気7着だったこと。ダービーも7着で、皐月賞の走りをもう一度見せられるかどうかです。

ホウオウビスケッツ(6歳)

2024年の天皇賞(秋)で8番人気3着。今年の毎日王冠も逃げて2着でした。芝2000mの持ち時計1分56秒6は登録馬で一番です。6歳以上の勝利が過去20年で1回しかないのは向かい風ですが、3着までなら十分ある馬です。ペースを作る馬なので、この馬の逃げ方がレース全体を決めます。

レガレイラ(5歳牝馬)

ホープフルS、有馬記念、エリザベス女王杯とG1を3勝。2強以外で、G1をいちばん多く勝っている馬です。ただ今年は宝塚記念7着、オールカマー4着と、去年ほどの勢いがありません。

登録17頭の評価

馬名 年齢 良い材料 不安な材料
クロワデュノール 4 JRAのG1を4勝、直接対決3勝1敗。前で運べる 東京芝2000mは初めて。G1の上がりは34秒台
マスカレードボール 4 去年の勝ち馬。上がり32秒3は登録馬で一番の切れ スタートが遅く、速い流れで前に残られると届かない恐れ
ダノンデサイル 5 ダービー、ドバイSCを勝利。G1で崩れない JRAのG1は3着が5回と勝ち切れない
リアライズシリウス 3 皐月賞1分56秒7。斤量56kg ダービー7着、毎日王冠7着と近2走が案外
ホウオウビスケッツ 6 2024年3着。持ち時計1分56秒6 去年は13着。6歳以上は勝ちが少ない
レガレイラ 5 G1を3勝 今年は宝塚記念7着、オールカマー4着
ジョバンニ 4 チャレンジC1着、金鯱賞と小倉記念で2着。香港のQE2世C5着 G1は勝っていない
セイウンハーデス 7 今年の毎日王冠1着。去年の天皇賞秋で上がり32秒4 7歳。過去20年、7歳以上の勝ちは2009年カンパニーだけ
シェイクユアハート 6 金鯱賞、札幌記念と今年G2を2勝 宝塚記念14着。東京は未出走
サクラファレル 4 札幌記念2着。東京芝2000mで勝ちがある G1は初めて
レディネス 4 札幌記念3着、毎日王冠3着。東京芝2000m1分57秒5 重賞はまだ勝っていない
タガノデュード 5 今年の大阪杯で13番人気4着 前走のチャレンジC11着
コスモキュランダ 5 芝2000m1分56秒8。去年の有馬記念2着 前走のオールカマー11着
ジュンブロッサム 7 上がり32秒0の切れ。オクトーバーS3着 2000mの重賞経験が少ない
エルトンバローズ 6 しらさぎS1着。毎日王冠を2023年に勝利 芝2000mは未出走
シャンパンカラー 6 2023年NHKマイルCの勝ち馬。上がりの平均は速い 芝2000mは3歳1月の京成杯だけ
ネブラディスク 4 9戦4勝で、博多Sを勝って上がってきた 重賞は未勝利

特別登録の時点。斤量は3歳56kg、4歳以上の牡馬58kg、牝馬56kg。

まとめ

クロワデュノールに向く材料 マスカレードボールに向く材料
直接対決3勝1敗 上がり平均で1秒3上回る
1番人気は過去20年で11勝 去年の勝ち馬で、東京芝2000mの経験がある
宝塚記念からの直行は最近の勝ちパターン 直接対決は直近のジャパンカップで勝っている
前に行く馬が多く、去年ほどのスローになりにくい 上がり勝負になれば、切れで逆転できる

6対4でクロワデュノール有利、という最初の見立ては、データとも大きくずれていないと思います。実績、直接対決、1番人気の強さ、前走のローテーション。どれもクロワデュノールの側にあります。

マスカレードボールが逆転するのは、去年のような上がり勝負になったとき。ホウオウビスケッツが楽に逃げて前半がゆっくり流れれば、32秒台の脚がもう一度生きます。逆に前が速くなれば、クロワデュノールが押し切る形になりやすい。

そして第3の刺客。過去20年で2強が1・2着だったのは2回だけです。2強のどちらかが崩れたとき、そこに入ってくる一番手はダノンデサイル。G1で何度も3着に来ている安定感は、この形のレースでこそ生きると思います。穴なら、持ち時計のあるリアライズシリウスと、流れを作るホウオウビスケッツ。

11月1日、府中の525m。2強が並んで坂を上がってくるのか、それとも別の馬が割って入るのか。

データはTARGET frontier JV(JRA-VANデータ)から集計。成績はJRAのレース(海外成績は表に別記)。PCIはTARGETと同じ式で計算。

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