外厩施設まとめ①|外厩って結局どこにあるの? 6年分のデータで348施設を数えてみた

外厩
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競馬中継を見ていると「天栄帰りで」とか「しがらき仕上げ」みたいな言い方をよく耳にします。外厩、つまりトレセンの外にある調教施設のことですね。休み明けの馬を評価するときの定番のフレーズになりました。

ただ、じゃあ外厩って全部でいくつあるんですか、どこにあるんですかと聞かれると、僕は答えられませんでした。天栄としがらき、あとチャンピオンヒルズくらいまでは名前が出てくる。その先が続かないんですよね。

で、JRDBの外厩データをまとめて見る機会がありまして。2021年7月末から2026年8月までの239,727走、17,411レース分。1頭も欠けずに放牧先が入っています。これなら数えられるなと思って手をつけたのが始まりです。

348施設ありました

まず単純に、出てきた施設名を全部数えました。348施設。正直、多いなと思いました。

ただ多いと言っても、均等に散らばっているわけではないんです。

全体に占める割合
上位3施設 21.0%
上位5施設 31.3%
上位10施設 51.3%
上位50施設 88.8%

上位10施設だけで全体の半分。348あるうちの10です。残りの338施設で、残り半分を分け合っている格好になります。

上位を並べるとこうなりました。

# 施設名 所在地 件数
1 チャンピオンヒルズ 滋賀県大津市 18,818
2 ノーザンファームしがらき 滋賀県甲賀市 18,526
3 宇治田原優駿ステーブル 京都府綴喜郡宇治田原町 13,049
4 ノーザンファーム天栄 福島県岩瀬郡天栄村 12,775
5 山元トレーニングセンター 宮城県亘理郡山元町 11,848
6 阿見トレーニングセンター 茨城県稲敷郡阿見町 11,529
7 KSトレーニングセンター 茨城県牛久市 11,003
8 吉澤ステーブルWEST 滋賀県甲賀市 8,974
9 グリーンウッド・トレーニング 滋賀県甲賀市 8,910
10 松風馬事センター 茨城県稲敷郡美浦村 7,540

上位50施設の所在地を数えると、茨城14・滋賀11・北海道7。美浦の周りと栗東の周りに固まっているのが分かります。トレセンから車で行ける距離、というのが施設の立地条件なんでしょうね。

名前を並べるだけで終わるつもりでした

最初は施設名と件数を並べれば一覧として成立すると思っていたんです。地図みたいなものを作れば、それで①は終わりだろうと。

ところが並べたあとに、余計なことを考えてしまいまして。この施設たち、同じ使われ方をしているんだろうか、と。

そこで「帰厩してから13日以内にレースに使った割合」を施設ごとに出してみました。放牧から戻ってすぐ使う、つまり短期で仕上げて戻す運用がどれくらいあるかの目安です。

施設 短期で使った割合
山元トレーニングセンター 1.7%
ノーザンファーム天栄 3.3%
ノーザンファームしがらき 5.3%
チャンピオンヒルズ 9.2%
宇治田原優駿ステーブル 14.2%
大山ヒルズ 15.2%

山元トレーニングセンターが1.7%で、大山ヒルズが15.2%。9倍近い開きがあります。

同じ「外厩」という言葉でくくっていたのに、中身は別物でした。片方はじっくり乗り込んで戻す施設、もう片方は帰厩から2週間以内にどんどん使う施設。並べてみるまで、こんなに違うとは思っていませんでした。

これ、なんでこうなるんでしょうね。施設の設備の差なのか、預けている厩舎の方針なのか。この時点では分かりませんでした。

外厩型と牧場型

もうひとつ、施設を「外厩型」と「牧場型」に分けてみました。トレセン近郊にあってレース間の調整に使う施設と、北海道などにあって本格的な放牧に使う牧場です。

件数 帰厩後41日以上
外厩型 204,918 8.2%
牧場型 6,759 17.2%

長く置く比率が2倍違いました。牧場型はやっぱり、時間をかけて立て直す場所として使われているようです。

ただ、この分類は施設マスタを自分で作って割り当てたもので、348施設のうち系列まで確定できたのは29施設だけです。日高地区の中小の牧場は「未確認」のままにしてあります。分からないものを埋めるとロクなことにならないので。

名前がややこしい施設たち

データを触っていて地味に困ったのが、名前です。

まずグリーンウッド・トレーニンググリーンファーム。名前が似ていますが別の施設です。社台ファーム生産馬の預け先として出てくるのは前者で6年間に2,622件、後者は28件しかありません。滋賀県甲賀市の別施設のようです。うっかり混ぜると話が全部おかしくなります。

それから名張ホースランドパーク。三重県名張市にあるこの敷地の中に、優楽ステーブル・岩崎ステーブル・吉田ステーブル・ヒイラギステーブルといった複数のステーブルが同居しています。データ上は別施設として出てきますが、場所としては同じところ。施設単位で数えるのか敷地単位で数えるのかで、話が変わってきます。

あと技術的な話で恐縮ですが、施設名の欄が30バイト固定なので、長い名前は途中で切れます。「有限会社高橋トレーニングセンタ」で終わっていたり、「ワコーファーム(アカデミー牧場」でカッコが閉じていなかったり。348施設のうち32施設がこの状態でした。名寄せするときの落とし穴になります。

一覧を検索できるようにしました

数えた結果は表で貼っておくには量が多いので、検索できるページにまとめました。

施設名だけでなく、調教師・馬主・生産者も名前で引けます。誰がどの外厩を使っているか、どれくらい集中しているかが出ます。

外厩名鑑 2021-2026|調教師・馬主・生産者はどこに預けているか
JRA全レース23万9,727走から集計した外厩データベース。調教師209人・馬主445・生産者397を名前で検索でき、外厩の利用率、帰厩からレースまでの日数、預け先の集中度で並べ替えられます。

分かったこと、分からなかったこと

6年分を数えて分かったのは、外厩は348あるけれど実質的には上位10施設が主戦場だということ。そして同じ「外厩」でも、短く回す施設と長く置く施設で運用がまるで違うということでした。

分からなかったのは、その違いがどこから来ているのかです。施設が決めているのか、預ける側が決めているのか。

このあたりは、生産者や馬主の側から見たほうが早そうだなと思っています。ノーザンファームの馬がどこに行って、社台ファームの馬がどこに行くのか。そこを数えたら何か出てくるんじゃないかなと。

外厩の話は予想に直結するようで、実はそんなに単純でもなさそうなんですよね。そのあたりも含めて、しばらく数えてみようと思います(^^ゞ

※ 集計に使ったのはJRDBの外厩データです。期間は2021年7月31日から2026年8月9日まで、239,727走。数字はすべてこの範囲での実測値になります。

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