ここまで、逃げについて三つの角度から調べてきました。騎手、調教師、そして乗り替わり。最後に、全部を並べて見えてきた全体像を書いておきます。順番に掘っていったら、逃げの「主役の順位」みたいなものが、うっすら見えてきたんです。
主役は、やっぱり馬
いちばん大きいのは馬でした。前走で逃げた馬は今走も3割弱で逃げ、逃げなかった馬は5%そこそこ。この5倍の差が、他のどの要素より大きい。誰が乗ろうと、どの厩舎だろうと、まずその馬が逃げ馬かどうかが土台にある。僕の作った逃げ馬メーターも、結局この「馬が過去にどれだけ逃げたか」を主軸に点数をつけていて、それが今のところいちばん外さない。
色をつけているのは、厩舎
次に効いていたのが調教師です。逃げ率の高い厩舎ははっきりいて、しかもその色は、前半3年と後半3年でr=0.702というきれいさで再現する。騎手のr=0.637より高い。指示を出すのは調教師なんだから、と言われればそれまでなんですが、逃げの「方針」は乗り手より厩舎に宿っている、というのは数字で見て納得しました。どの厩舎の馬か、で逃げの下地がかなり決まっている。
騎手は、最後の数パーセントを動かす
そして騎手。同じ馬で乗り替わりを見ると、騎手は逃げ率を数ポイント上げ下げしていました。とくに、逃げ馬を差し系の騎手に乗せると逃げが消える。ここははっきり効く。さっきのユリーシャが、松山騎手だと逃げて、岩田騎手だと逃げなかったように、乗り手ひとつで前に行くかどうかは動く。ただ、それは馬と厩舎で決まった下地の上での、最後の微調整なんですよね。騎手だけで逃げ馬をゼロから作ることはできない。
馬が土台を作り、厩舎が色をつけ、騎手が最後の数%を動かす。三つを並べると、そういう順番に見えました。
「効くはず」が効かなかった伏線
実はこの結論、遠回りして辿り着いたところがあります。騎手の逃げ率が個性として再現すると分かったとき、僕はこれを逃げ馬メーターに組み込めば予想が良くなるはずだ、と思って試したんです。ところが、まったく効かなかった。足しても足さなくても精度は変わらない。
最初は理由が分からなかったんですが、今ならこう説明できます。メーターは元々、馬が過去にどれだけ逃げたかを見ている。でもその過去の逃げっぷりは、そのとき乗っていた騎手や、指示を出していた厩舎の結果でもある。つまり騎手や厩舎の影響は、馬の逃げ実績という形で、すでに点数の中に溶け込んでいた。だから改めて足しても、同じ情報を二度数えるだけだった。
再現性が高いことと、予想の上積みになることは、別の話だった。三つ調べて、ようやくそれが腑に落ちました。
それでも、順番が見えたのは収穫
予想の精度そのものは上がっていません。組み込みは見送りのままです。でも、逃げというひとつの現象を、馬・厩舎・騎手という三つのレイヤーに分けて、どれがどれだけ効いているかの順番が見えた。これは自分にとって大きな収穫でした。
レースを見るとき、まず馬の脚質を見て、次にどの厩舎かで下地を測り、最後に乗り替わりで消える危険がないかを確認する。この順番で見るクセが、三つの記事を書いているうちに自然と身につきました。競馬予想が当たるかどうかは別として、こういう見方の軸がひとつ増えるのが、データをいじる面白さかなと思います(^^ゞ
※JRA-VAN/TARGETのデータをAIで集計したもので、結果を保証するものではありません。データはすべてローカルで処理しています。
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