【天皇賞秋2026 】タイム分析|東京芝2000mで能力を発揮できる馬は?平均速度から考えてみた。

レース展望
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今週は天皇賞(秋)、東京芝2000mです。今年は時計の面から考えてみました。使うのはTARGETの馬データにある「平均速度」。走った距離を走破タイムで割った速さ(km/h)で、たとえば1800mを1分46秒1で走ると61.07km/hになります。

今年はホウオウビスケッツが引っぱる

まず展開。逃げるのはホウオウビスケッツだと思っています。出遅れたら、リアライズシリウスかセイウンハーデスあたりがハナでしょう。

ホウオウビスケッツは決め手がない馬なので、早めに先頭に立って押し切るのが勝ちパターンです。鞍上は主戦の岩田康誠騎手で、この馬の力を出す乗り方は分かっているはず。理想は1000m通過が58秒後半から59秒前半くらいかなと。

昨年の天皇賞(秋)は13着でしたが、あれはスタートでメイショウタバルに先手を取られて、番手で力んでしまったレース。岩田康騎手も、ペースが遅くて自分のペースで行けなかった、という趣旨のことを話していました。前走の毎日王冠は自分の形で逃げて2着、しかも毎日王冠は3年続けての2着です。やっぱり逃げてこその馬ですね。

天気予報では良馬場。1000m通過が58秒5なら、走破タイムは1分57秒台と見ています。

前半58秒台の天皇賞(秋)は、だいたい1分57秒台

この見立てが過去と合っているか、良馬場の天皇賞(秋)で前半1000mと勝ちタイムを並べてみました。

天皇賞(秋)前半1000mと勝ちタイム(良馬場)
年 前半1000m 勝ちタイム 平均速度 勝ち馬
2006 58.8 1:58.8 60.61 ダイワメジャー
2008 58.7 1:57.2 61.43 ウオッカ
2013 58.4 1:57.5 61.28 ジャスタウェイ
2018 59.4 1:56.8 61.64 レイデオロ
2019 59.0 1:56.2 61.96 アーモンドアイ
2024 59.9 1:57.3 61.38 ドウデュース
2025 62.0 1:58.6 60.71 マスカレードボール

前半が58秒台から59秒台前半の年は、1分56秒台から1分58秒台。真ん中はだいたい1分57秒台です。2024年はホウオウビスケッツが59秒9で逃げて、自身も1分57秒6で3着に粘っています。

昨年は前半62秒0のスローで、上がりはレースで32秒9。どの馬も脚がたまる、究極の上がり勝負でした。今年ホウオウビスケッツが58秒台で引っぱれば、後半もおよそ59秒、上がり34秒台の持続力勝負になりそうで、求められるものがかなり違ってきます。

1分57秒0から1分57秒9を平均速度にすると、61.54から61.07km/h。勝ち負けするには、2000mをこのくらいの速さで走り切る力が要る、ということになります。

距離の違う時計をそろえる

平均速度は距離が延びるほど遅くなるので、1800mと2400mの時計はそのままでは比べられません。そこで、2015年以降の良馬場の芝の重賞で、前半1000mが59秒0以内だった速い流れのレースについて、勝ち馬の平均速度を距離ごとに出しました。

速い流れ(前半1000m59秒0以内)の重賞 勝ち馬の平均速度(2015〜2025年・良)
距離 勝ち馬の平均速度 2000mに直すとき
1800m 61.54 −0.50
2000m 61.04 そのまま
2200m 60.59 +0.45
2400m 60.40 +0.64

この差を足し引きしたものを、ここでは「2000m換算」と呼びます。1800mで62.0km/hなら、2000m換算で61.5km/hという具合です。

それから、時計だけ見ると速い馬はいても、G1になるとまた違ってくるのが競馬。なので、使うのは2024年10月以降の良馬場で、前半1000mが59秒5以内の速い流れのG1・G2に絞りました。

速い流れのG1・G2で出した最高の時計(2024年10月以降・良)
馬名 レース 着順 平均速度 2000m換算 前半1000m
マスカレードボール 2025 ジャパンC(東京2400) 2着 61.58 62.22 57.6
ダノンデサイル 2025 ジャパンC 3着 61.36 62.00 57.6
クロワデュノール 2025 ジャパンC 4着 61.32 61.96 57.6
ホウオウビスケッツ 2025 毎日王冠(東京1800) 2着 62.25 61.75 58.6
リアライズシリウス 2026 皐月賞(中山2000) 2着 61.70 61.70 58.9
コスモキュランダ 2025 大阪杯(阪神2000) 8着 61.64 61.64 57.5
エルトンバローズ 2025 毎日王冠 5着 62.01 61.51 58.6
ジョバンニ 2025 皐月賞 4着 61.33 61.33 59.3
セイウンハーデス 2025 ジャパンC 12着 60.59 61.23 57.6
タガノデュード 2026 大阪杯 4着 61.07 61.07 58.1
シェイクユアハート 2026 札幌記念(札幌2000) 1着 60.91 60.91 59.4
サクラファレル 2026 札幌記念 2着 60.71 60.71 59.4
レディネス 2026 札幌記念 3着 60.61 60.61 59.4

シャンパンカラー、ジュンブロッサム、ネブラディスク、レガレイラは、この条件に合うレースがありませんでした。ただ、条件の外に良い時計を持っている馬もいるので、そこは下で1頭ずつ触れます。

ジャパンC組の上位3頭は2400mからの換算なので、「その速さを2000mでも出せる」という前提の数字です。同じ東京なので、信頼度は高めだと思っています。

時計で上位の5頭

クロワデュノール

良い面 2000mの速い流れでいちばん実績がそろっています。大阪杯は前半58秒1の流れを先行して1分57秒6(61.22)で勝ち、皐月賞は前半59秒3で1分57秒3の2着。前半が速くても前で受け止められるので、ホウオウビスケッツが58秒台で引っぱる形は合いそうです。東京は3-0-0-1で、ダービー馬でもあります。

不安面 ジャパンCは前半57秒6の流れで4着と、速すぎる流れでは少し置かれました。春は大阪杯から天皇賞(春)、重馬場の宝塚記念と走ってきたので、秋初戦の仕上がりも見たいところです。

マスカレードボール

良い面 昨年の勝ち馬。スローの上がり勝負を勝っただけでなく、ジャパンCでは前半57秒6の流れを中団から2着、61.58km/hを出しています。遅い流れでも速い流れでも結果を出しているのは、この馬だけです。東京は3-2-0-0で崩れていません。

不安面 今年はクイーンエリザベス2世C(2着)、キングジョージ(7着)と海外を走って、7月から間が空いての帰国初戦です。

ダノンデサイル

良い面 大阪杯(前半58秒1)3着、ジャパンC(前半57秒6)3着と、速い流れで崩れません。ジャパンCの61.36km/hは、2000m換算で62.00。時計の面ではマスカレードボールと並ぶ存在です。

不安面 日本ではダービーのあとG1で3着が5回。いつも上位には来るけど、勝ち切るところまでいかないのが続いています。

リアライズシリウス

良い面 皐月賞は前半58秒9を先行して1分56秒7(61.70)。2000mを実際に走った時計では、メンバーでいちばん速いです。3歳で斤量が56kgなのも有利。東京は共同通信杯を逃げ切るなど2勝しています。

不安面 ダービーは2番人気で7着、前走の毎日王冠は1番人気で7着、しかも上がりは16位でした。この2戦をどう見るかで、評価が大きく変わる馬です。

ホウオウビスケッツ

良い面 2024年の天皇賞(秋)は、前半59秒9で逃げて1分57秒6(61.22)の3着。2025年の毎日王冠は前半58秒6で逃げて1分44秒1(62.25)の2着。前半58秒台で逃げても時計を落とさずにまとめた実績があって、今年想定している競馬にいちばん近い形をすでに見せています。

不安面 決め手がないので、同じ時計で走っても後ろから差される余地が残ります。上がりはたいていメンバーの下位で、昨年のようにハナを取れなかったときに崩れるのも気になるところです。

ほかの12頭

上の5頭以外にも、時計や条件の面で面白い馬はいます。荒れるときはこういう馬が来るので、1頭ずつ良い面と不安面を並べておきます。並びは馬名の順です。

エルトンバローズ

良い面 前半57〜58秒台の速い流れの重賞に強い馬です。毎日王冠は2023年に勝ち、2025年は1分44秒5(62.01)で5着。マイルCSでも2着があって、先行も差しもできます。

不安面 2000mは走ったことがなく、1800mより長いのは2200mの未勝利戦と有馬記念だけ。2000mの時計がありません。

コスモキュランダ

良い面 大阪杯2025の1分56秒8(61.64)は、メンバーでも上位の2000mの時計です。皐月賞2024も1分57秒1で2着。有馬記念では12番人気で2着に来ていて、人気がないときに走る実績があります。

不安面 東京は4戦すべて着外。近2走は重馬場で4着と11着です。

サクラファレル

良い面 4歳の上がり馬で、札幌記念2着。東京は2-0-0-1で、東京2000mの3勝クラスを1分58秒6で勝っています。先行できるのも強みです。

不安面 2000mのベストは60.71km/hで、1分57秒台の決着だと約1秒足りない計算になります。G1は初めてです。

シェイクユアハート

良い面 札幌記念の1分58秒2は、2000年以降の札幌芝2000mでいちばん速い時計。小回りの洋芝で時計が出にくいコースなので、これは評価していいと思います。左回りの中京では中日新聞杯(1分57秒6)と金鯱賞を勝っていて、平均速度は61前後で安定して好走しています。

不安面 東京は走ったことがなく、G1の良馬場も未経験です。前半58秒台の流れで勝ったのは3勝クラスの1回だけで、速い流れのG1でも同じ脚が使えるかがカギです。

シャンパンカラー

良い面 NHKマイルCを勝ったG1馬で、東京で3勝。今年の東京新聞杯ではメンバー最速の上がり32秒8を使っています。

不安面 2000mは京成杯6着の1戦だけ。近走は2桁着順が続いています。

ジュンブロッサム

良い面 上がり32秒台を何度も出している切れ味の持ち主。3週前のオクトーバーS(東京2000m)で3着、東京は2-2-1-6です。昨年のような上がり勝負になれば出番があります。

不安面 2000mの最高は60.91km/h。7歳で、G1は2戦とも2桁着順です。

ジョバンニ

良い面 皐月賞2025は、クロワデュノールとマスカレードボールに0秒1差の4着。ダービーで8着と離されたのは、完成度の違いだったのかもしれません。前走のチャレンジCは1000m通過59秒4とこのクラスにしては遅めでしたが、後半5ハロンは58秒2、ラスト4ハロンは46秒4。11秒8、11秒5、11秒7、11秒5、11秒7と11秒台を並べる厳しい上がりを先行して押し切り、1分57秒6(61.22)。着実に力をつけています。

不安面 東京はダービーの1戦だけ。勝ち馬の水準にはまだ一歩足りませんが、3着ならありそうです。

セイウンハーデス

良い面 エプソムC2025は、前半57秒3の超ハイペースを押し切って1分43秒9(稍重)。今年の毎日王冠も勝っています。大阪杯(前半58秒1)も先行して5着と崩れておらず、ハナに行く形になっても対応できます。

不安面 7歳。ジャパンCでは逃げて12着と、飛ばしすぎると止まります。

タガノデュード

良い面 大阪杯は前半58秒1の流れを、上がり1位の脚で4着。左回りは7戦すべて3着以内(1-1-5-0)です。前が苦しくなる流れで差してくるタイプで、今年の想定に合う1頭だと思います。

不安面 東京は未経験で、G1は4〜6着止まりです。

ネブラディスク

良い面 京都1800mを前半57秒7の速い流れで1分43秒8(62.43)。全9戦で5着以内と、まだ大きく崩れていない4歳馬です。

不安面 重賞は3歳時の2戦だけで、2000mの時計はまだ60km/h前後です。

レガレイラ

良い面 G1を3勝していて、牝馬なので斤量は56kg。皐月賞2024は前半57秒5の速い流れで1分57秒6。上がり最速を何度も記録しています。

不安面 速い流れでの良い時計は2年前のもの。東京は0-0-1-1で、近2走は重馬場で崩れています。

レディネス

良い面 白富士S(L)で東京2000mを1分57秒5。この舞台で1分57秒台を出したことがある数少ない1頭です。毎日王冠3着、札幌記念3着と、重賞で続けて好走しています。

不安面 ダービー17着、甲斐路S16着と大きく負けた回があって、ムラがあります。

まとめ

ホウオウビスケッツが58秒台で逃げて1分57秒台の持続力勝負になるなら、時計の面ではクロワデュノール、マスカレードボール、ダノンデサイルのジャパンC組が一歩リード。2000mの実走ではリアライズシリウスの1分56秒7がいちばん速く、ホウオウビスケッツ自身もこの流れで粘った実績があります。

その下では、速い流れのG1を差して4着のタガノデュード、東京2000mで1分57秒台を持つレディネス、11秒台の上がりを押し切ったジョバンニあたりが、3着に食い込む候補です。

逆に、ホウオウビスケッツがハナを取れずに昨年のようなスローになったら、話はまるごと変わります。そのときは上がりの切れる馬、ジュンブロッサムやシャンパンカラーのような馬にも出番が回ってくるはずです。ただ、スタートを見てから馬券は買えないので、そこが悩ましいところ。ホウオウビスケッツの枠順と、当日の東京の芝でどのくらい時計が出ているかを見て、最後に決めたいと思います。

データはJRA-VANのデータをもとにTARGET frontier JVで集計。平均速度は距離÷走破タイム(km/h)。2000m換算は、2015〜2025年の良馬場の芝の重賞で、前半1000mが59秒0以内だったレースの勝ち馬の平均速度の差から出しています。登録馬は特別登録の時点です。

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