出馬表を見ていて「この厩舎、遠征だとどうなんだっけ」「この騎手、人気薄に乗ったときは来るのかな」と思うこと、ありませんか。
僕はしょっちゅうあります。で、そのたびにTARGETで条件を組んで集計して、終わったらまた別の条件で組み直して……とやっていたんですが、正直けっこう面倒なんですよね。一度調べた内容も、次の週には忘れています(^^ゞ
だったら、調教師ごと・騎手ごとに「よく聞かれそうな切り口」を最初から全部まとめたページを作っておけばいいのでは、と思って作ったのが厩舎辞書と騎手辞書です。

厩舎辞書は185厩舎
JRAの現役調教師185人について、1人1ページずつ作りました。期間は「今年」「過去3年」「過去5年」で切り替えられて、芝・ダートでも分けられます。
切り口はこんな感じです。
- 距離、競馬場、回り
- 地元か遠征か(栗東の厩舎が東京や札幌に行ったとき、など)
- 馬齢、クラス、性別、季節
- 距離の延長・短縮、昇級初戦
- レース間隔、休み明けの何戦目か
- 騎手の継続騎乗か乗り替わりか
- レース前2週間の追い切りの本数

たとえば杉山晴紀厩舎の過去3年を見ると、全体の勝率は15.3%。追い切りの本数で分けると、0本のときは勝率9.6%、3本以上だと17.5%でした。乗り替わりのところでは、テン乗りの単勝回収率が107。継続騎乗の68より高いんです。

こういうのって、なんとなくの印象では持っていても、数字で並ぶとやっぱり見え方が違いますね。
最初は「全厩舎の平均」と比べていた
各表には「差」という列があって、その条件の勝率が平均よりどれだけ上か下かを出しています。
で、最初はこれを全厩舎の平均と比べていたんです。普通そうするよな、と思って。
ところが、できたページを眺めてみたら、強い厩舎はどの条件でも全部プラス。弱い厩舎は全部マイナス。それだと「この厩舎は強い」ということしか分からなくて、肝心の「どの条件が得意で、どの条件が苦手か」が見えないんですよね。
なので、比べる相手をその厩舎自身の平均に変えました。こうすると、リーディング上位の厩舎でも「遠征はいつもより落ちる」「休み明けはいつもより走る」みたいな凸凹が出てきます。全厩舎の平均は、数字にマウスを乗せると出るようにしてあります。
これは作る前に考えていても気づけなかったかなと思います。できたページを実際に眺めてみて、初めて分かったことでした。
騎手辞書は144人
騎手辞書は、現役のJRA騎手と、この1年に乗った短期免許の騎手で144人分です(うち短期免許が18人)。引退した騎手は入れていません。
一番見せたかったのは年ごとの騎乗数と成績の推移です。データのそろっている1986年から今年まで、棒グラフと線で並べています。

武豊騎手のページを開くと、これがなかなか面白くて。1987年のデビュー年が69勝、翌年が113勝。2003年に204勝、2005年に212勝で山のてっぺんがあって、2010年は落馬の影響で69勝まで下がっています。数字を知っている人も多いと思いますが、グラフで見ると40年近い騎手生活の起伏がひと目で分かるんですよね。JRA通算は4,688勝、重賞373勝、うちG1が87勝と出ています。
騎手ならではの切り口も入れました。
- 人気別(1番人気/1〜3番人気/4〜7番人気/8番人気以下)
- 4角の位置(先頭/前/中団/後方)
- 上がり最速を出した割合
- 枠、馬場、頭数、クラス
- 継続騎乗・テン乗り・久しぶりの再騎乗
- 減量(見習い騎手・女性騎手だけ)
- 所属厩舎の馬か、ほかの厩舎の馬か
- 依頼の多い厩舎と馬主、お手馬、重賞勝ち
人気別の表は、試作を見たあとで足しました。最初は4角の位置があれば十分かなと思っていたんですが、やっぱり「人気どおりに来る騎手なのか」は真っ先に知りたいところなので。

武豊騎手の過去3年だと、1番人気で勝率30.8%、8番人気以下だと3.9%。ただ8番人気以下は単勝回収率が113あって、人気薄で来るときは来ている、ということみたいです。4角で先頭に立ったときは勝率32.6%・単勝回収率147で、後方だと5.5%。前に行けたときの強さははっきり出ていますね。
今村聖奈騎手のページでは、所属の寺島良厩舎の馬に乗ったときの勝率が8.9%、ほかの厩舎の馬だと4.2%でした。こういう「所属厩舎の馬かどうか」は、所属のある騎手にだけ出るようにしています。
TARGETから開く
TARGET frontier JV を使っている方は、出馬表などの調教師名・騎手名から直接開けます。
「環境設定」→「インターネットリンク」→「名称用」で新規追加して、
- 表示名称:厩舎辞書
- URL等:
https://racing-book.net/app/kyusha/%DT.html
- 表示名称:騎手辞書
- URL等:
https://racing-book.net/app/kishu/%DT.html
の2つを登録してください。調教師名や騎手名の上で右クリックして「厩舎辞書」「騎手辞書」を選ぶと、そのページが開きます。
TARGETは画面によって「中内田充」「ルメール」のような短い名前を渡してくることがあるので、フルネームと短い名前の両方でページを置いています。騎乗相関図と同じやり方ですね。
数字が合っているかを先に確かめた
この手のページで一番怖いのは、数字が間違っていることです。見た目がきれいでも、1勝ずれていたら意味がありません。
なので、作ったあとに別のやり方で数え直して突き合わせました。厩舎辞書は185厩舎×3期間を、以前作った調教師分析アプリの数字と比べて、ずれは0件。騎手辞書の年ごとの勝利数も、別の読み方で数え直して一致しています。人気別の表も、元のデータから数え直して同じ数字になりました。
途中で一度だけ、勝率が0.1%ずれたことがあったんです。原因を調べたら、小数点の四捨五入のやり方の違いで、31.25%が31.2%になっていました。こんなところでずれるのか、と思いましたね。
AIがあっても、何を見たいかは自分で決める
作業はClaude Codeに「こういう切り口で、こういう見た目で」と話しかけて進めました。データはJRA-VAN(TARGET)のものを直接読んでいます。
ただ、どの切り口を入れるか、何と比べるか、人気別の区切りをどうするか、といったところは、結局こちらで決めるしかありません。「全厩舎の平均と比べる」が使いにくいと気づけたのも、できたページを見て違和感があったからです。そこはAIがどれだけ賢くなっても、競馬を見てきた側の仕事なのかなと思います。
どちらも、レースのある週の翌日に新しい成績で作り直すようにしています。できたばかりなので、実際の予想で使い込むのはこれから。出馬表の横に開いておいて、気になった厩舎や騎手をサッと引く、という使い方ができたらいいなと思っています。
調教師や騎手について、TARGETを開かなくても「あの条件はどうだっけ」がすぐ分かる。ずっと欲しかったものを自分で作れたのは、かなり面白かったですね。
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