ノーザンファーム・社台ファーム・吉田一族はなぜ強いのか

生産者馬主
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公開情報を見ながら、ノーザンファーム、社台ファーム、そして吉田一族の関係を整理してみました。競馬を見ていると「ノーザン系」「社台系」という言葉はよく出てきますが、実際には単純にひとつの会社が全部を持っているというより、生産牧場、育成施設、種牡馬事業、クラブ法人、馬主法人、セール販売が重なった大きな事業群として見るのが分かりやすいです。

社台グループの中心にあるのは、社台ファーム、ノーザンファーム、追分ファーム、そして社台コーポレーションです。ノーザンファームは1994年創業で、従業員は1,186名、在厩頭数は約3,600頭。社台ファームは1971年創立で、従業員431名。社台コーポレーションは1965年設立で、社台スタリオンステーション、白老ファーム、社台ホースクリニックなどを持っています。数字を見ると、ノーザンファームの規模の大きさが目立ちますね。

ただ、このグループの強さは、単に馬をたくさん持っていることではないと思います。強い繁殖牝馬を導入し、生産し、育成し、外厩で仕上げ、クラブで走らせ、セレクトセールでも販売する。この流れが一体になっているところが一番大きいです。競馬はレースだけ見ていると、最後に走っている馬と騎手に目が行きますが、その前には繁殖、配合、育成、調教、馬主、クラブ運営まで全部つながっています。

ノーザンファームで言えば、リバティアイランド、フォーエバーヤング、クロワデュノール、ヘデントール、カヴァレリッツォなど、近年のGI馬や受賞馬が並びます。牝馬三冠、ダートの世界的活躍、ダービー馬、長距離GI、2歳王者と、かなり幅広いです。芝のクラシックだけでなく、ダートや長距離、2歳戦まで結果を出しているのが強いですね。

一方で、社台ファームも近年かなり存在感を戻しています。スターズオンアース、ソールオリエンス、ジャンタルマンタル、ダノンデサイルあたりを見ると、社台ファームもクラシックやマイル路線でしっかり結果を出しています。少し前は「ノーザン一強」という見方が強かったですが、最近は社台ファームの巻き返しもかなり感じます。

吉田一族の役割を見ると、これも面白いです。吉田照哉氏は社台ファーム、社台コーポレーション、社台サラブレッドクラブ側。吉田勝己氏はノーザンファーム、サンデーサラブレッドクラブ側。吉田晴哉氏はG1サラブレッドクラブ側に関わっています。さらに次世代として、吉田俊介氏、吉田哲哉氏、吉田正志氏がそれぞれ関連法人に入っています。

これは、完全に世代交代したというより、上の世代がまだ大きな柱として残りながら、次の世代へ法人ごとに役割を渡しているように見えます。ノーザンホースパークの社長に吉田俊介氏が就いていることなども、その流れのひとつでしょうね。いきなり全部を変えるのではなく、社台、ノーザン、追分、クラブ法人をそれぞれ分担しながら移していく形だと思います。

クラブ法人の存在も大きいです。サンデーサラブレッドクラブとサンデーレーシング、社台サラブレッドクラブと社台レースホース、G1サラブレッドクラブとG1レーシング。このあたりは、一口馬主をやっている人ならなじみがあると思います。牧場で生産した馬をクラブで募集し、会員が出資し、競馬で走らせる。これによって、馬主層を広げながら、良血馬を安定して競馬場へ送り込めます。

セレクトセールの数字を見ると、この市場の強さも分かります。落札総額は2021年の225.56億円から、2025年には327.00億円まで増えています。約45%増です。これはかなり大きいです。しかも、海外からの購買者も増え、世界レベルの繁殖牝馬が日本に入ってきているという流れがあります。日本の競馬が国内だけで完結していた時代とは、もうかなり違いますね。

社台グループの強みは、国内で馬を作って国内で走らせるだけではありません。海外から繁殖牝馬を入れ、日本で種牡馬を使い、セールで海外購買者にも売り、また日本調教馬が海外GIで走る。フォーエバーヤングのような馬が出てくると、その流れはさらに強くなります。日本のダート馬が世界で勝つ時代になってきたのは、かなり大きな変化だと思います。

ただ、公開情報だけでは分からない部分も多いです。各社は非上場なので、正確な持株比率や家族内の資本関係までは見えません。ですから、外から見えるのは、会社概要、代表者、役員名簿、関連法人、クラブ法人、セール実績、GI成績といった部分です。株主構成まで断定するのは難しいですね。

それでも、影響力は十分に見えます。生産牧場、育成施設、種牡馬事業、クラブ法人、セレクトセール、業界団体役職。これだけの導線に吉田一族が関わっているわけですから、日本競馬に与える影響はかなり大きいです。特にサンデーレーシング、社台レースホース、G1レーシングが馬主リーディング上位に入っていることを見ると、クラブ法人を通じた競走馬運用の強さは今も健在です。

今後のリスクとしては、人材、防疫、規制、気候変動あたりが気になります。ノーザンファームだけで1,000人を超える従業員がいるわけですから、牧場運営はかなり人に依存しています。馬を扱う仕事は機械化だけではどうにもならない部分がありますし、人材の確保と育成は大きな課題でしょう。また、社台スタリオンステーションの見学制限などを見ると、防疫もかなり重要になっています。馬産は一度感染症が出ると影響が大きいですからね。

気候変動も今後は無視できないと思います。北海道とはいえ、夏の暑さは昔と違います。育成や調教、放牧管理にも影響が出る可能性があります。ただ、この点については公開資料だけでは具体的な対策までは見えにくいです。

全体として見ると、ノーザンファームと社台ファームの強さは、単に「いい馬を作る牧場」というだけではありません。繁殖牝馬、種牡馬、育成、外厩、クラブ、セール、海外市場までをつなげた仕組みそのものが強いのだと思います。

ノーザンファームは圧倒的な規模と成績で今も中心にいます。社台ファームはスターズオンアース、ジャンタルマンタル、ダノンデサイルなどで再び存在感を高めています。追分ファームとG1レーシングも含めると、社台グループ全体としての厚みはやはり大きいです。

競馬はレースの結果だけを見ると、1頭の馬が勝った、1人の騎手がうまく乗った、という話になります。でも、その勝ち馬の後ろには、配合を考えた人、繁殖牝馬を導入した人、育成した人、外厩で仕上げた人、クラブで募集した人、馬主として支えた人がいます。

そう考えると、社台グループの強さは「点」ではなく「線」ですね。馬が生まれてからGIを勝つまでの線を、かなり高い精度で持っている。これが、日本競馬で長く影響力を持ち続けている理由だと思います。

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